これからの人工知能・AI時代の働き方と必要な能力 | AIシリーズ③

この先人工知能が発達した未来で、「人はどのように働けばよいのか」について紹介します。

第1回では人工知能の発展の歴史を紹介し、第2回ではディープラーニングを中心とした人工知能・AIの5つの弱点について紹介しました。

近年では、人工知能を用いた新たなビジネスの流れが加速しています。

ますます人工知能が人の労働に置き換わる未来で、「現在の若い社会人や子供たちはどのような働き方をするのでしょうか?」

本記事では、前回紹介した「人工知能・AIの5つの弱点」から考える、私なりの「これからの働き方」に関する私見を紹介します。

現在の人工知能・AIの5つの弱点と能力

前回記事の人工知能・AIの5つの弱点のおさらいをします。

5つの弱点として、

①大量の学習データが必要なため、珍しい課題の判断が困難

②イノベーションが起こせない

③カリスマ性がない

④人の心を動かせない(ホスピタリティとエナジャイズ)

⑤人間の身体性を再現できるロボットの器が必要

を紹介しました。

さらにそれでも、偏差値で測れば58くらいあり、偏差値という”ものさし”の上では、各世代の8割の人間よりも賢いということを紹介しました。

より詳細は前回記事をご覧ください。

人工知能・AI・ディープラーニングの現状と5つの弱点 | AIシリーズ②
現在のディープラーニングを用いた人工知能・AIの「現状」と「5つの弱点」について紹介します。...

この先の人工知能時代に必要とされる5つの働き方

この先必要とされる働き方は、「人工知能にできないこと」

つまり先ほど挙げた5つの弱点に対応した働き方になります

ひとつずつ見ていきましょう。

①大量の学習データが必要なため、珍しい課題の判断が困難

→高度な判断力を必要とする知的労働

例)経営者、コンサルタント、高度な医者、科学者

②イノベーションが起こせない

→クリエイティブな仕事

例)美術クリエイター、番組プロデューサー、映画監督、起業家、マーケティング

③カリスマ性がない

→他人にはできないプロフェッショナルな仕事

例)プロサッカー選手、プロ育成のコーチ、プロ将棋棋士、一流の料理人、国宝級の伝統工芸師

④人の心を動かせない(ホスピタリティとエナジャイズ)

→ホスピタリティを生かした仕事

例)介護師、助産師、カウンセラー、理学療法士、ホテルコンシェルジュ、事業部リーダー、トップ営業マン

⑤人間の身体性を再現できるロボットの器が必要

→人間の身体性を生かし、AIの指示に従い働く仕事

例)とび職や工場の複雑な労働

以上をまとめると以下の絵のようになります。

ここでは実は「教師」や「神父さん、神主さん、住職さん」が抜けています。

私としては特に、「今後、教師は必要なのか?」という問題は興味深い議論であり、これは別記事で書きたいと思います。

ここで挙げた①~④の働き方と、⑤の働き方は大きく異なります

①~④と、⑤の大きな違いは、「他人が簡単に真似できない、自分だけができる仕事」かどうかです。

⑤の働き方(AIの指示に従い身体性の利点を生かし働く方法)には、①~④の人に比べ3つの欠点があります

  1. 賃金が少ない
  2. 年齢とともに生産性が落ちやすい
  3. あなたでなくても誰でも良い

という点です。

そのため、この超高齢化社会において⑤の人生を選んだ人は、生涯を生きていくだけの生産・付加価値を生み出すことが、非常に困難になります可能性があります

すると、①~④の人と、⑤の人の「経済格差」は非常に大きくなり、それは社会の不安定性を生み出すと私は予想しています。

この⑤の集団は、偏差値だけでいうと、全体8割ですから(もちろんそんな単純ではないですが)、かなりの人間に対して、⑤に該当する未来が待ち受けている(かもしれない)ということです。

一方で選挙権はひとり一票なので、大多数の⑤の意見が国策には反映され、いざ政治が始まると混乱が起こります。

①~④の職業をさらに発展させなければ、国として、世界としての発展は難しいのに、政策は⑤の人を考えた政策になり、混乱が起こります。

なんか実際にもう、アメリカやイギリスで起こっているような出来事ですね。

「格差社会は良くない」と言われます。

確かにその通りです。

とくに、国の税制などが格差を増加させる仕組みになっている状態は良くありません。

ですが、本人の能力、教育の受け方しだいで、①~④の人間になるか、⑤の人間になるかが決まり、働き方の違いで経済格差が広がるのは「もう止められない未来」です。

ちなみに⑤の仕事はどんどん減少します。

例えば最近では「コンビ二のレジを商品のICタグを用いて無人化する計画」などが発表されています。

現在の日本は、「ITやAIによって仕事が奪われた人間」がより高度な仕事につくための「再教育制度」や転職したり起業したりする「労働資本の流動性」があまりになさすぎます。

これは、高度経済成長を可能にした日本型社会システムの負の遺産であり、「労働者人口の減少」と相まって、現在のデフレ、停滞社会を作っている大きな2大原因だと私は考えています。

ですが、社会制度は簡単には変りません。

国が助けてくれるのではなく、個人が頑張るしかないのです。

そんなこれからの時代に私たちにできるのは、「①~④の人間を目指す」、もしくは「①~④の人間に子供を育てる」ことだけです。

では、どんな能力をつければ①~④の人間になれるのか?

その方法を、本サイトでは徐々に紹介したいと思います。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、「人工知能・AIが発展した未来での働き方」についてご紹介しました。

①から④の「人工知能にできない知的な働き方」をするのか、⑤の「ロボットではできない身体性を生かした働き方」をするのか。

①~④と⑤の大きな違いは、「他人が簡単に真似できない、自分だけができる仕事」かどうかです。

次のページでは、人工知能のさらなる未来を紹介したいと思います。

ディープラーニングを中心とした第4AIの先にある「第5AI」がどんなものなのか、私見を紹介します。

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人工知能・AIの未来はどうなる?シンギュラリティは来るのか? | AIシリーズ④
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