人工知能・AIの未来はどうなる?シンギュラリティは来るのか? | AIシリーズ④

人工知能・AIはどこまで発達するのか?「人間を超える日が来るのか?」について私見を紹介します。

これまでAIシリーズと題して、第1回では人工知能の発展の歴史を紹介し、第2回ではディープラーニングを中心とした人工知能・AIの5つの弱点について紹介しました。

前回はこれからの人工知能時代の働き方について紹介しました。

本記事では、人工知能・AIはどこまで進化していくのか、私見を紹介します。

はじめに「強いAIと弱いAI」、「シンギュラリティ」という2つの概念について説明します。

その後、「弱いシンギュラリティ」という私独自の理論を説明し、次の世代の人工知能・AIのあるべき姿、未来像について紹介します。

それではお楽しみください。

強いAI・弱いAIとシンギュラリティ

はじめに、人口知能・AIに関連する2つの概念について解説します。

強いAIと弱いAI

「強いAI」と「弱いAI」という概念があります。

「強いAI」とは汎用性のある人工知能・AIのことです。

つまり、ひとつのプログラムで囲碁も将棋もできるようなAIになります。

これだけ聞くと、「プログラムをif文で分岐させれば?」と誤解するかもしれません。

ですが、そうではなく、「AIの基盤となる学習・判断の部分がどの競技・応用先に対しても、汎用的に使用できるAI」という意味です。

例えばアルファ碁は学習の部分に囲碁特有の石の置き方のルールを考慮している部分があり、強いAIではありません。

逆に人間というのは、ある意味強いAIです。

同じ脳で囲碁も将棋もできます。

強いAIを目指すといった場合には、「人間のようになんでもできる汎用的人工知能・AI」を作ることになります。

一方で「弱いAI」とは、専門的AIのことです。

使用する競技や局面が制限されており、囲碁なら囲碁、将棋なら将棋とその競技に特化した人工知能・AIになります。

現在存在している人工知能・AIはこの弱いAIになります。

ですが、弱いAIのままでは「人間の代わり」にはならないので、困ったな~という思いが研究者にはあります。

IBMのワトソンというAIがあります。

クイズ王を破ったAIです。

これは「強いAI」か「弱いAI」というと、私的には「弱いAI」に分類されます。

ワトソンは、クイズから論文検索、特許情報の整理など、幅広く、応用されています。

そういう意味では応用先限定的ではないのですが、「文字情報から必要な最適情報を抽出する」という共通した作業をしているだけであり、代わりに囲碁や将棋をすることはできないため、弱いAIといえます。

シンギュラリティ

次に「シンギュラリティ」という概念について説明します。

シンギュラリティとはGoogleの研究者のレイ・カールワイツが提唱した概念です。

「2045年には、人工知能の発展が飛躍的に拡大し、世界が変わるであろう。

もしかしたら、人工知能が人間を超越し、反乱すらも起こるかもしれない。」

という重要な現象を、シンギュラリティと言います。

このシンギュラリティという考え方は、ムーアの法則という「半導体の集積密度は1.5年~2年で2倍になる」という経験則に従う考え方です。

すると、2045年には1000ドルのPCに搭載されるCPUのトランジスタ数は人間100億人分の脳神経細胞の数と同じになって、人がPCに勝てなくなるという考え方がベースにあります。

そして、そこまでPC性能が上がれば、シンギュラリティが可能となる「ハードウェアのベース」が育つだろうとカールワイツは予言しているのです。

しかしながら、私としては、あまりシンギュラリティについては賛成の立場にはありません。

まず大前提のムーアの法則が2045年まで続くのか?という疑問があります。おそらく無理でしょう。

そして、なぜ人間100億人分の神経の数とトランジスタの数が同じにあれば、良いのか・・・

そこに明解な理由もありません。

そもそも人間100億人が束になっても、気候変動や経済変動、紛争など、解決できない問題だらけです・・・

ということで、世間一般に言われている「シンギュラリティが来るぞ!!」という意見には私は同意していません。

いまでも足し算・かけ算の計算だけなら、パソコンの方が人の脳より優れています。

今後も「人の脳より人工知能・AIのほうが適した課題」が増えていく点についてはもちろん同意です。

ですがいまの延長線上では、人間を超越し、人工知能の反乱が起きるような事態にはいかないでしょう。

それでは今後の人工知能・AIはどのような進歩を遂げる必要があるのでしょうか?

その点について私見を次に説明します。

これからの人工知能・AIの目指す道

AIシリーズ第1回では人工知能の発展の歴史を紹介し、現在のAIがディープラーニングを搭載した第4AIであることを説明しました。

そしてこれまでのAIは決められた中から最適なものを選ぶ、「最適化」を行なっているだけであることを説明しました。

それでは進化系である「第5AI」はどのようなものなのかを説明します。

第5AIは「弱いシンギュラリティ」を起こせる必要があります。

「弱いシンギュラリティ」という言葉は「弱いAI」でのシンギュラリティのことで、私の造語になります。

つまり囲碁ソフトであれば自動でどんどん強くなっていき、勝手に最強になるAIです。

行き着く先は、囲碁をやるなら先攻後攻が決まり、一手動かした瞬間に「はい詰みです」ってなっちゃう世界です。

それが面白いかは別として・・・

そもそもシンギュラリティとは「自己進化の結果」から生まれます。

1.0を100回かけても1.0のままですが、1.1を100回かけると1万以上になります。

このように第5AIは「自分よりちょっぴり賢くなる自己進化」が起こせるAIである必要があります。

そして、自己進化を起こすには、「イノベーション」が起こせるAIである必要があります。

この点を詳しく説明します。

例えばアルファ碁は、アルファ碁vsアルファ碁や、別の囲碁ソフトとの対戦結果を使って、パラメータをさらにチューニングしています。

では永遠とアルファ碁をアルファ碁と対戦し続ければ、最強の囲碁ソフトは生まれるのでしょうか?

おそらくですが、生まれません。

もっと分かりやすい例を出しましょう。

高校陸上部100m走選手の太郎君がいます。

太郎君の脳にはディープラーニングが搭載されています。

そのため、走るたびに自分のフォーム、足の角度や腕の振りなどを自動で最適化していきます。

では太郎君は最終的に100mを10秒以内で走れるようになるでしょうか?

おそらく無理でしょう。

100mで10秒を切るにはフォーム以外に、筋肉の質などコントロールできない要素が重要になります。

同様にアルファ碁においても、人間が実は勝手に決めているパラメータや枠組みがそれなりにたくさんあるので、それが「筋肉の質」と同じように影響し、どこかで強さの頭打ちが来ます。

ですが第5AIというものが実現し、頭打ちが来たところで、AIが自動的にイノベーションを起こし、制限を突破すれば、さらに進化するようになります。

太郎君の100mでいえば、太郎君が筋肉の質を変えるトレーニングや遺伝子ドーピングなどを始めることに対応します。

このようにこれまでのAIの最適化というレベルを超え、イノベーションを起こし自己進化するレベルの第5AIができると、本当にシンギュラリティが起こるのではと思います。

ですが、そんなAIをどうやって作れば良いかは誰にも分かりません。

ですが、私なら「アインシュタイン・プロジェクト」という国家プロジェクトを提案します。

アインシュタイン以前の論文データと実験データを入力したときに、相対性理論をアウトプットするAIを作ろうというプロジェクトです。

このプロジェクトが成功すれば、人類は大きな変化を迎えると思います。

どうやって解決するのかは分かりませんので、ただの夢物語ですが・・・

まとめ

長い文章でしたが、ご一読いただきありがとうございます。

今回は、「人工知能・AIがこの先どのように進歩するのか」について私見を紹介しました。

個人的には現在言われているほど、大きな変化、ましてや人工知能が人を完全に凌駕するなんてことはないと思います。

そして、もしそんなシンギュラリティを実現させるためには「アインシュタイン・プロジェクト」というイノベーションを起こせるAIが必要なことを説明しました。

以上、4回にわたって人工知能の概要的なお話をしてきました。

「なんとなく人工知能・AI時代のイメージがつかめた」と思っていただければ、著者として嬉しく思います。

次のページでは、「プロ棋士がAIに負けるような現状において、これからの将棋界や囲碁界はどうなるのか?」、私なりの見解を紹介します。

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