AIがプロ棋士に勝つような現代、今後の将棋界はどうなるのでしょうか?
それでも私は、明るい未来が待っていると期待しています。
本記事ではAI時代のこれからの将棋界について、人工知能・AIの特徴をふまえながら私見を述べます。
なお、これまでの人工知能・AIシリーズの過去記事はこちらをご覧ください。
AI時代の将棋界の未来を考える
たいそうなお題を掲げましたが、私自身は将棋のルールは知っていて、多少は指せる程度です。
実際にプロ世界の人々や動向などは知らないので、まったくの私見になります。
ご容赦ください。
さて現代は、人工知能・AIにプロの将棋棋士が負けることもある時代になりました。
AIがプロ全員より強いとは思っていません。
ですがAIは、確実にプロ級に強くなっています。
そして、いまではプロの棋士のなかには、AIソフトを使って、将棋を研究している人もいるそうです。
あなたはそれを聞いてどう思いますか?
そして、人工知能・AIにプロが負けてしまう将棋界は、今後どうなると思いますか?
私は、将棋界は今後ますます面白くなると信じています。
実はプロ棋士がAIに勝つ方法が2つあります。
1つ目の方法は、様々な戦略方向へ広げられるように打ち、AIに戦い方を絞らせないようにして、AIにたくさんの展開を考えさせることで、持ち時間をなくさせる作戦です。
2つ目の方法は、いままでに見たことのない打ち方をして、AIが学習したことの少なさそうな局面にもっていき、きちんと局面評価できない状況へ持っていって自力で勝つ作戦です。
ですが、この方法は自爆の可能性が高いです。
いままでプロ棋士はAIと戦うときにこれら2つの作戦は使用せず、AIに研究されている自分たちの将棋の指し方で、プライドを持って戦いました。
私にとってはその点がすでにカッコいいですし、そんな人たちがこれからもっと将棋界を熱くしてくれるのではと思います。
上記の理由は全然論理的な理由ではなく、ただの個人的感情ですね。
ですが、論理的に考えたときに今後の将棋界がきっと面白くなるという理由が、私には3つあります。
その理由は、AIを用いることで
①将棋界全体のレベルアップ
②今までにない定跡、指し手の創作(イノベーション)
③過去の偉人との対戦
が可能になるという3点です。
①将棋界全体のレベルアップ
前回記事では、ディープラーニングを用いた囲碁ソフトであるアルファ碁で、「アルファ碁 VS アルファ碁」をずっとやっていれば無限に強くなるか?というと、そうではないですよ、というお話をしました。
このように現在のディープラーニングをベースとしたAIは、「使用した学習データ」のベストエフォートのようなものです。
つまりこれまでの将棋棋士が全員並んでみんなで考えて、「この手が良い!」と決めて指しているようなものです。
このようなプロレベルのソフトと簡単に将棋が指せる時代になったため、誰もがハイレベルな将棋の世界を体感できるようになりました。
これは子供たちやアマチュア将棋のレベルを底上げすることにつながり、しいては将棋界全体のレベルアップにつながると思います。
「ディープラーニングは思考プロセスが分からないから指導にならない」という欠点を指摘される方もいるとは思いますが、この点は大丈夫だと思います。
というのも、そのときAIは「次に相手がここに打ちそうな可能性が高くて、そうすれば次に自分はそこに打つつもりだった」と、数手先までの予想データを持っています。
そのため、ある程度のレベルがある人がそのデータを見れば、「AIはそう展開を考えてたからいまそう打ったのか~」と理解することができます。
最近では中学生プロ棋士の藤井聡太さんも出てきました。
今後もこのレベルの人がばんばん出てくる可能性があり、そうなるとますます将棋界は楽しくなると思います。
②今までにない定跡、指し手の創作(イノベーション)
さきほど説明したように、現在のディープラーニングをベースとしたAIは、「使用した学習データ」のベストエフォートのようなものです。
つまりこれまでの将棋棋士が全員並んでみんなで考えて、「この手が良い!」と決めて指しているようなものです。
それに打ち勝つには、今までにない手で、かつ、勝てる将棋を生み出さなければいけません。
その取り組みが将棋界に新たな指し方、定跡を生み出し、将棋にイノベーションが生まれるかもしれません。
すると新たな将棋の世界が花開き、きっと楽しいと思います。
③過去の偉人との対戦
最後の理由は、ちょっと毛色の違うお話になります。
学習データに「とあるプロ棋士」のデータばかりを使用すれば、まるでそのプロ棋士と同じように将棋を打つAIを作ることができます。
実際には膨大な学習データが必要なため、もう既に亡くなっている方は難しいかもしれません。
ですが、現在生きている方であれば可能かもしれません。
例えば羽生善治さんに、いろいろなタイプのAIソフトと早指しで勝負してもらい、たくさんの棋譜データを長年かけて作成してもらいます。
そのデータを学習データとして使えば、まるで羽生さんと同じように指してくる「羽生AI」を生み出すことができます。
SFの世界で「死んだあと自分の脳をまるまるコンピューターに移して、永遠に生きる」みたいな話があります。
ここまでは無理ですが、羽生さんが亡くなったあともAIを使うことで「羽生さんと永遠に将棋が指せる」、「羽生さんは永遠に将棋の世界に生き続ける」みたいな未来が作り出せる可能性があります。
この話はまだまだ夢物語かもしれませんが、そんな妄想も膨らみます。
まとめ
本記事では、プロ棋士がAIに負けてしまうこともある将棋界の今後はどうなるのか、私見をつづりました。
そして私は、ディープラーニングをベースとしたAI将棋ソフトが
①将棋界全体のレベルアップ
②今までにない定跡、指し手の創作(イノベーション)
③過去の偉人との対戦
の3点を可能にすることで、より楽しくなると考えています。
そしてなにより、将棋界やプロ棋士の方々は、はかなり昔から、理研や大学での「AIや脳科学の研究」に対して、力を貸してくださいました。
だからこそ私の根底には、将棋界が科学の発展によって衰退することなく、むしろ科学を利用してもっともっと発展して欲しいという思い(バイアス)があるのだと思います。
今回もつらつらと勝手な私見を述べた記事ですが、なにか少しでも参考になれば幸いです。
次のページでは、「AI時代に学校教師は必要か?必要ならその役割は?」を紹介します。
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