ビジネスや研究で重要となる、論理的で分かりやすい文章を書く方法を説明します。
ビジネスでの書類作成や提案書作成、研究の論文執筆などでは、論理的で分かりやすい文章を書くことが求められます。
論理的な文章を書く力を、ロジカルライティング能力と呼びます。
残念なことに日本人はこのロジカルライティング能力が非常に低いです。
なぜなら、学生時代にロジカルライティングについて学ぶ機会がないからです。
本記事では、「○○さんの文章は分かりやすいね!」、「説得力があるね!」
そう言ってもらえるような文章を書くための、ロジカルライティングの方法を説明します。
記事の最後にはおすすめの本も紹介します。
論理的で分かりやすい文章とは
はじめに、ゴールとなる「論理的で分かりやすい文章」とはどんなものなのか?
を説明する必要があります。
論理的で分かりやすい文章とは
「読み手が知りたい情報が、知りたい順番、気になる順番どおりに書かれていて、読んでいる途中で??と思うことがない文章」
です。
読み手に負担をかけない、迷子にならない文章、と言われたりもします。
そのような文章を書くために、テクニカルにはどのような点に気をつけると良いか説明します。
論理的で分かりやすい文章とは、「ピラミッド構造」の元に、「パラグラフライティング」で書かれている文章となります。
ピラミッド構造やパラグラフライティングについて詳細はこれから説明します。
論理的な文章を書くうえで注意したい点があります。
それは、論理的な文章とは1文レベルの話ではないという点です。
文章全体の1文を直すというレベルではなく、文章構造全体の問題となります。
パラグラフライティングとは
それではロジカルライティングの一つ目のテクニックである「パラグラフライティング」について説明します。
パラグラフとは「文章の固まり」のことです。
パラグラフは、日本語でいう「段落」と意味は似ています。
段落と同じように改行、字下げして区切る点は同じです。
ですが異なる点が2つあります。
1点目は、パラグラフでは1つの主張(言いたいこと)を説明するという点です。
2点目は、パラグラフの1文目は主張の要約文となっている点です。
パラグラフの先頭は、その固まりで説明したい一つの主張を簡潔に述べた要約文になります。
その後3~7文程度、その主張をより詳しく説明する文章が続きます。
読み手は、パラグラフの先頭文だけ読んで納得できれば、1文だけ読んで次のパラグラフへと移動します。
一方でもっと詳しく知りたいと思ったときには、先頭以降の文も読むことになります。
このように一つの主張を述べるのに、
「要約文。補足文。補足文。・・・。」
となる段落構成での書き方をパラグラフライティングと呼びます。
次にピラミッドストラクチャーについて説明します。
ピラミッドストラクチャーとは
ピラミッドストラクチャーとは、ロジックツリーのような形で、文書全体を構造化する手法です。
ピラミッドの頂点には、一番伝えたい内容(主張・結論)を書きます。
例えば、
「製品Aをインドで販売するべきかどうか調べて文書にまとめてくれ」
と上司から頼まれたとします。
するとピラミッドの一番上に来るのは
「製品Aはインドで販売すべきである」 or 「製品Aはインドでは販売すべきではない」
のどちらかが基本的には座ります。
「製品Aをインドで販売すべきか調べた調査結果」
という書き方は主張になっていないので注意してください。
こんな書き方をする上司も確かにいますし、そんな文化がある会社もあるかもしれません。
ですが、こう書く人間はだいたい、「結局何が言いたいのか一言で言ってくれ!」と上司から言われる運命にあります。
一言で簡潔に述べた結論が、ピラミッドの先頭に来ます。
その後は
・背景
・問題点と必要性
・目的
そして
・調査基準
・製品Aの基準に対する評価①
・製品Aの基準に対する評価②
・製品Aの基準に対する評価③
とピラミッドは続きます。
そして各ピラミッドは一言要約文を先頭に、詳細が下にぶら下がる形になります。
この固まりがそれぞれパラグラフになります。
ただし、長い文章を書く場合にはピラミッドの段数が3段から4段、5段と増えていき、それぞれがパラグラフになります。
パラグラフは4~8文程度なので、この場合はパラグラフ数が増えます。
その分、章立てをしたりすることになります。
このピラミッドの段数というのを意識してください。
上司から「一言で結果を教えてくれ」と指示されたら、最上段の文を報告します。
上司から「30秒程度で内容を簡潔に教えてくれ」と指示されたら、まず最上段結論を述べ、2段目までを報告します。
これをエレベータトークとも言います。
忙しい上司がエレベータに乗っている間に説明する方法だから、このような名前で呼ばれます。
またA4一枚程度の文章の場合は3段目までをパラグラフライティングのルールに従いながら、書くことになります。
すると次のような形になります。
まずはじめに、タイトルがピラミッド最上段の一言結論となります。
そして総論のパラグラフを書きます。内容は背景、問題点、目的、そして製品Aの基準に対する評価①、②、③と最後に一言結論です。
その後、必要に応じて背景、問題点、目的のパラグラフを書きますが、A4で1枚の場合には割愛することが多いです。
そして、評価基準、製品Aの基準に対する評価①、②、③の各パラグラフを書き、まとめで要約を書きます。
なお、長いレポートや研究論文の場合には、4段目、5段目以降までのピラミッドを文章にすることになります。
文章を書く際に、ピラミッドストラクチャーを考慮することで論理的で分かりやすい文章が書けます。
最後に文章を書く際の、細かな注意点を3つ紹介します。
文章を書く際の注意点
①指示言葉を多用しない
文章内で、「この」、「その」、「このような」といった指示代名詞は極力使わないほうが良いです。
いったい何を指しているのか分からなかったり、前に戻って読み直す手間が生まれる可能性があります。
明らかに何を指しているか分かる場合を除いて、極力指示代名詞は避けるように気をつけることをお勧めします。
②既知、新規の順番で書く
文章を書く際に、既知のことを先に書いて、その後に新規のことを書きます。
例えば、次のような書き方です。
(悪い例)
論理的な文章にはパラグラフライティングとピラミッドストラクチャーが重要です。
ひとつの主張を説明する日本語の段落のような文章の固まりをパラグラフと呼びます。
悪い例の場合、2行目の文頭から「ひとつの主張を説明する日本語の段落のような文章の固まりを・・・」の部分を読んでいるときに、読み手は(ここの未知の情報は何の説明をしているんだ?)と疑問に思いながら読むことになります。
(良い例)
論理的な文章にはパラグラフライティングとピラミッドストラクチャーが重要です。
パラグラフとは、ひとつの主張を説明する日本語の段落のような文章の固まりです。
良い例のように、「パラグラフとは、・・・」と先に1文目で示した既知の情報を書き、その後その説明である未知の情報を書くことで、読み手はスムーズに読むことができます。
このように読み手に負荷を与えず、読み手が知りたい順番で書くことが重要です。
③修飾語を対象の近くに置く
最後は修飾語の位置に注意して下さい。
修飾語は修飾している言葉に隣接して置くことが重要です。
(悪い例)
非常に短期間に製品Aは広まると考えられます。
(良い例)
製品Aは非常に短期間に広まると考えられます。
あまり上手な例が書けていませんが、文章を書いていると、このような修飾語の位置関係に気を使う場面に遭遇します。
最後にロジカルライティングを身につけるのにおすすめの本を紹介します。
論理的な文章を書くためにおすすめの本
日本語で書かれた良い本は少ないのですが、次の2冊がお勧めです。
論理的な文章を書くために必要な知識が説明されている本です。
日本では論理的文章の書き方について大学で授業を受講する機会がほとんどないので、この本はとても有用です。
文章全体の論理構造の組み立て方、パラグラフライティング、読者が?と思わない単語の配置順、簡潔な文章で書くこと、伝えたい主語を選びインパクトを与えることなど、論理的文章を書くのに基礎的な事項が説明されている良い本です。
また例題や演習が多いのも良いです。悪い文章を示し、それをロジカルライティングで書き直すとどうなるのかBefore Afterの例がたくさん示されているがとても勉強になります。
この1冊を実践するだけでライティング能力がかなり進歩すると思います。
有名なバーバラ・ミントの考える技術・書く技術のワークブックです。
本体はとくに必要ないです。
ワークブックを一冊やるだけでしっかりした練習になります。
ロジカルライティングを行なうためには、そもそもロジカルシンキングができていないと難しいです。
ロジカルシンキングについては、過去の記事をご覧ください。
ロジカルシンキング(論理的思考力)を鍛える方法、おすすめ本を紹介
最低限覚えておきたいビジネスフレームワーク(3C、SWOT、PEST、VC、AIDMA)
次のページでは、ロジカルシンキング(論理的思考)や問題解決思考というのは、実は非常にアナログな思考であることについて説明します。
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