ロジカルシンキング、論理的思考力とは「いったい何なのか?」、「なぜ大切なのか?」、「どうすれば身につくのか?」について、図解を用いて分かりやすく説明します。
大学院生で研究を始めたり、就活生でグループワークをすると、さかんに「ロジカルシンキング」や「論理的思考力」という言葉を耳にします。
そしてちょっと勉強すると、「なんとなくMECEくらいは分かったような気になる」のですが、その後自信を持って使えるレベルにはいたらない、という人が多いです。
本記事では、ロジカルシンキング、論理的思考力について
①概要
②大切な理由
③具体例と身につけ方
を示します。
先に大枠の図を掲載しておきます。
論理的思考力、ロジカルシンキングとは
私は「ロジカルシンキング」と「論理的思考力」は同一のものとして取り扱っています。
そのためこれ以降、ロジカルシンキングで統一します。
なぜロジカルシンキングが大切なのか?
それは、研究やビジネスの世界では「答えのない問題」を取り扱うからです。
小学校から大学、大学院入試までは「答えのある問題」に取り組みます。
そのため、あなたが問題を解いたとき、その答えや導出が正しいことは、誰にでも分かります。
しかし、ビジネスの世界では誰も答えを知りません。
誰も答えが分からないなかで、顧客の問題を解決し、顧客に貢献して売上を上げ、利益を出す必要があります。
このように「答えのない問題」を解決する能力を「問題解決能力」と私は呼んでいます。
「問題解決能力」はこれからのAI社会において非常に重要なスキルです。
そして、この問題解決能力のベースとなるのが「ロジカルシンキング」です。
ロジカルシンキングとは
「答えのないビジネス社会での会話ルール」
であり、
「自分の主張がもっともらしいと、相手を説得する考え方」
です。
ビジネスシーンにおいて、他人に対して自分の主張を伝えるのは難しいことです。
なぜなら自分とは、「立場」、「前提条件」、「経験」、「大切にしているもの」がまったく異なるからです。
そのような状態でも相手に自分の主張を届け、納得してもらうために、ロジカルシンキングが重要です。
それでは、ロジカルシンキングとは何なのか?
一言で言うと、「漏れとダブりがなく、各主張に飛躍がない考え方」となります。
そしてこのロジカルシンキングの土台にある能力が「推論力」となります。
「推論力」とは「答えのある問題」において、答えにたどり着くのに必要な全ての情報が与えられている状態で、情報を整理して答えを導く能力です。
学校で勉強する、算数や数学の文章問題なども推論問題となります。
「答えがある問題」で情報を整理して答えにたどり着く推論力がベースにないと、「答えのない問題」でロジカルシンキングはできません。
以上の内容を図解すると、以下のようになります。
ロジカルシンキングの大切さ
ロジカルシンキングが大切な理由を説明します。
ロジカルシンキングが大切なのは、問題を解決したいときに、突然アイデアを言い出すと、相手が納得できないからです。
例えばラーメン屋の店長が「最近利益が少ないんだよね・・・」と困っているとします。
そのときに突然アイデアを出し
「最近はラーメンブームで女性客も多いから、麺を少なめにしたメニューも用意すると良いよ!!」
と答えると、どうなるでしょうか?
なんか、「っぽい」アイデアですが、きっと店主は納得できないでしょう。
おそらく、
「なんでそのアイデアが良いの?」
「本当に効果的なの?」
「別の方法はないの?」
「それが一番良い方法なの?」
っていう疑問を持つと思います。
一方、ロジカルシンキングで考えると
「店長、利益が出ていた頃と今の現状を比べてみましょう」
「利益は(売上-原価)ですが、売上は過去と変わっていませんね。でも原価が高くなっています」
「原価ですが、家賃などの固定費は変わっていませんが、流動費のとくに材料費が高くなっていますね」
「ラーメンの材料のうち、近年値段が上がっていて、仕入先を変えれそうな食材を検討してはいかがですか?」
と答えれば、
「店主もなるほど~確かにそうだな・・・」
と納得できると思います。
世の中こんな簡単な問題はありませんが・・・
以上の比較例のように、突然アイデアを出すと
「なんでそのアイデアが良いの?」
「本当に効果的なの?」
「別の方法はないの?」
「本当に一番良い方法なの?」
などという相手の質問に答えられず、納得させられないです。
そのため、ロジカルシンキングが大切になります。
ロジカルシンキングの身につけ方
一般に日本人は論理的思考力が苦手だと言われています。
その理由は2つあります。
・学校で「ロジカルシンキング」、「答えのない問題」に取り組む機会が少ない
・ロジカルシンキングを自信を持って教えられる教師が少ない
からです。
海外では「ディベート」などを通じて「答えのない問題」に取り組み、教師がロジカルシンキングの手法を伝え、フィードバックします。
日本の教育では、近年「答えのない問題」を考える機会が増えてきました。
しかし多くの教師の場合、「答えのない問題(研究やビジネス)」にロジカルに取り組んだ経験が少ないため、自信を持って、ロジカルシンキングを子供たちに教えることができない傾向にあります。
これは若手の社会人も同様です。
研究を数年経験すればロジカルシンキングが身につくのですが、学部卒の場合には研究経験も少なく、ほとんど身につかないまま社会人になります。
ですが、日本人でも、きちんと順を追って学べば、ロジカルシンキング、問題解決能力は身につきます。
ではどうすれば身につくのか?
次のページ以降で、各能力の詳細な説明、例題と回答例、そして鍛えるためにお勧め本を紹介します。
-シリーズ問題解決能力の記事一覧-
③ロジカルシンキング(論理的思考力)を鍛える方法、おすすめ本を紹介
④就活生、新入社員が最低限知っておきたいビジネスフレームワーク
⑦論理的思考はアナログ的で思いやりが必要:ロジカルシンキングと「弓と禅」
次のページでは、一番の土台となる推論力について紹介します。
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