ロジカルシンキング、フレームワーク思考を土台に問題解決を行う流れと、おすすめの本を紹介します。
これまでロジカルシンキングやビジネスフレームワークについて紹介してきました。
ロジカルシンキング(論理的思考力)を鍛える方法、おすすめ本を紹介
最低限覚えておきたいビジネスフレームワーク(3C、SWOT、PEST、VC、AIDMA)
本記事ではこれらを組み合わせて、実際の問題を解決する手順について説明します。
記事後半では問題解決能力を身につけるのにおすすめの本も紹介します。
まずはじめに問題解決の大まかな流れを紹介します。
問題解決の手順
問題解決のながれを説明します。
自分や、自分たちのチーム、顧客はなんらかの問題を抱えており、それを解決したいと考えています。
そこで問題解決思考に従い、解決案を策定します。
例えば「ラーメン屋が赤字になっている」などの問題を解決すると想定します。
問題解決は4つのステップで行われます。
①問題箇所の特定(Where)
②問題原因の分析(Why)
③解決策の提案(How)
④解決策の実行(Do)
です。
家が火事になったため「火事を再び繰り返さないためにはどうすればよいか」という問題の解決を試みます。
(あまり良い例ではないですが分かりやすさを優先します)
この場合、上記の4つのステップは
①出火場所の特定
②出火原因の分析
③解決策の提案
④解決策の実行
となります。
①出火場所の特定では、台所で火事になったのか、寝室で火事になったのか、問題の根本がどこで発生したのかを明らかにします。
この「問題箇所の特定」は抱えている問題を細かく分解していき、根本的な問題箇所を特定します。
このプロセスを「Where」と呼びます。
②出火原因の分析では、例えば「寝室で火事になった」とした場合に、それはストーブが原因なのか、寝タバコが原因なのかを明らかにします。
さらにもし寝タバコであれば、なぜその日に限って寝タバコが火事の原因になったのか、きちんと火を消さずに灰皿に置いていた、また灰皿が枕元で寝ているうちに布団が灰皿の上に重なったなど、原因分析をこれ以上無理な根本的理由まで分析します。
この「問題原因の分析」により、問題点がなぜ生じているのか、その原因を特定します。
このプロセスを「Why」と呼びます。
③解決策の提案では、寝タバコが原因であれば、寝タバコを今後禁止にする、灰皿を置く場所を台所に固定するなどです。
原因を解決する方法を提示します。
このプロセスを「How」と呼びます。
④解決策の実行では、その解決策を全員がきちんと実行できるように説得し、実行状況を管理します。
このプロセスを「Do」と呼びます。
このように
Where→Why→How→Do
の4ステップで問題解決は行われます。
ここで重要なのは、すぐにHow思考、具体的行動案を考えようとする人が多いことです。
ですが突然具体的案を出すと、
「他の方法はないの?」
「本当に効果があるの?」
「どうしてその案がベストなの?」
という質問に対して、的確に答えることができません。
4ステップを常に意識してください。
次に各ステップを詳細に分析する方法を紹介します。
①Where:問題点の特定
一番最初に行なうのは問題点の特定です。
重要なのは、一番の出火原因となっているポイントを探し当てることです。
そのためには、現在抱えている問題をMECEにどんどん細かく区切っていきます。
そして各要素について現状を把握し、問題点がないかチェックします。
問題点がある要素が見つかれば、その要素をさらにまたMECEに区切って、どこが問題を生んでいるのかを把握します。
基本的には問題点の特定はMECEに分解していく作業の連続となり、ロジックツリーになります。
このロジックツリーはWhereツリーと呼ばれます。
ですが、プレゼンではロジックツリーをスライドに載せても分かりにくいので、ポイントを押さえた箇条書きにすることが多いです。
またコツとしては、最終的な問題点をMECEを縦軸×横軸にとったマトリクスで見せるのとインパクトがあります。
例えば、ラーメン屋の経営がうまくいっていないときに、お昼のリピーターが減っていると分析した場合には以下の絵のようにマトリクスを見せるなどといった方法があります。
Whereツリーで問題点を特定した後は、なぜその問題点が生じたのか、理由・原因を探ります。
②Why:問題点が生まれた理由を分析
次に特定した問題点が生じた原因を分析します。
問題点を分析するのは難しいことです。
一般的に3つの手法がとられます。
1つ目はロジックツリーを作って考える方法
2つ目はビジネスフレームワークで考える方法
3つ目はシステムシンキング(システム思考)で考える方法
です。
1つ目のロジックツリーはWhyツリーと呼ばれます。
要素を分解するのでなく、Why→so What(原因→そのおおもとの原因)と、原因をさらにその原因の原因となるように、どんどん深堀していきます。
2つ目のビジネスフレームワークで考える方法は、前回の記事で紹介しました。
最低限覚えておきたいビジネスフレームワーク(3C、SWOT、PEST、VC、AIDMA)
問題が生まれるのは、それまでと何かが変わるという起点があります。
例えばラーメン屋の例では競合店が近くに出店した、などです。
このように起点を押さえるために、3C×SWOTなどの分析をして変化したものをまず特定していくというのが、ひとつのコツです。
3つ目のシステムシンキング(システム思考)は、要素と要素の因果関係をボックスでつないで表現する方法です。
例えばラーメン屋のお昼のリピーターが減少しているという問題点に対しては次のような絵が書けるかもしれません。
Whyの分析はあまり定型的なものはなく、非常に難しいです。
どこまで上手く考えられるかは、データの収集度合いや問題解決の経験量に依存します。
なぜ問題が起こったのか?
それはAのため。
では、なぜAは起こったのか?
それはBのため。
と、なぜなぜ思考を5回くらい繰り返して、問題の根本原因を探ります。
こうした手法はトヨタ式改善手法と呼ばれます。
③How:どのように解決するのか
問題点が生まれた原因が特定できたら、解決策を提案します。
解決策は個別具体的であり、事案ごとに異なるため、これといって定型的に考える方法はありません。
ですが解決策は、問題点の原因を断ち切り、問題を解決できるものになります。
ここで重要なのは、なぜその解決策が良いのかを相手に納得してもらうことです。
同じ原因を断ち切って解決するにしても、様々な方法が考えられます。
突然ひとつの案を提案するのではなく、複数の案を示し、そのなかで最もおすすめの方法を提案します。
そのためには、どうしてその解決方法がベストなのかを有効性の根拠、数字、期待値をもって説得する必要があります。
例えば、過去のデータや似たケースの事例を紹介したり、自身でフェルミ推定してみるなどです。
また、別の方法としては、複数の解決案をスコアリングすることもあります。
・取り組みやすさ(準備時間、コスト、関係者調整の多さ)
・効果(即効性、インパクトの大きさ)
の5項目で点数化し、定量的に複数の案を評価します。
その他に解決策を考えるコツとしては、商品を売るのではなく、顧客に満足を売るということを念頭に置くことです。
ラーメン屋なら、ラーメンを売るのでなく、
「ラーメンを提供することで、お客さんの顧客体験、顧客満足、顧客の問題解決を提供する」
という意識を持って、解決策を考えることです。
④Do:実行する
最後に提案し、納得してもらった解決策を実行します。
実行場面では、何をどの順番でおこなうのかWBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)に記述して、プロジェクトを管理しながら実行していきます。
ただし最も重要なのは、関係者たちがその問題解決策に真剣に取り組んでもらえることです。
経営トップや経営企画に携わる人間など、当事者意識の高い人は意識高く取り組みやすいです。
一方で現場にいて、経営の一部分しか担っておらず、全体が見えない従業員には、改革案や解決策で仕事内容が変更になり面倒になることは、受け入れがたいことです。
現場の従業員にも、真剣に取り組んでもらうためには、次の3つの要素を伝えることが重要です。
①現状のままでは、従業員のあなたにとっても良くない方向にどんどん悪化していること(現状認識)
②問題の発生原因の一端は、あなたの関連する業務にもあること(責任意識)
③最後に、あなたの頑張り次第で会社が変わるから、力を貸して欲しいこと(コミットメント)
これらを伝え、従業員が真剣に取り組めるように、心から説得することが重要です。
システム(ルール、人事制度、組織体制、配属など)は社員・従業員を縛り、逸脱した行動を防ぎます。
しかしシステムを変えても、人間のやる気を引き出すことはできません。
まずは、心が変わり、生まれたやる気を維持できるシステムを用意することが大切です。
まとめと本紹介
このように
Where→Why→How→Do
の4ステップで問題解決は行われます。
最後に問題解決の手順を学ぶのにおすすめの本を紹介します。
問題解決の入門書です。
本ページで紹介している、4ステップに分けて実行する方法がしっかりと身につきます。
タイトルにはプレゼンテーションとありますが、論理的思考力から問題解決思考力、そして提案・プレゼンテーションまで、ビジネスの一連の流れを説明した本になります。
中小企業のハードウェアメーカー社員が新規事業を立ち上げるというストーリーと、各章ごとに解説となっています。
主人公が頑張って資料を作成し、論理的に発表しようとするのですが、「なんで売上向上を目指すシステムなの?コストダウンの方が顧客の受けは良いんじゃないの?」
「小売業を相手にするって言うけど、アパレルとドラッグストアじゃ、全然違うんじゃないの?」
「コンサル会社の助けを借りるのはいいけど、何でその会社を選んだの?どれくらいの効果が期待できるの?」
などなど、実際のビジネスで出そうな指摘を受けまくり、それらの指摘を乗り越えて企画を通そうと奮闘する主人公が描かれています。またその背景にある論理的思考力の理論が解説されています。
問題解決の一連の流れを説明しています。
問題解決の各ステップの意味を細かく本質的に説明しています。
問題解決の小説です。
小説ですが著者が実際にコンサルで関わった案件がベースとなっています。
問題解決をリアリティを感じながら、追体験することができます。
以上、問題解決の手順とおすすめ本の紹介でした。
次のページでは、ロジカルシンキングをベースに、相手に伝わるロジカルで分かりやすい文章を書く方法を紹介します。
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