「論語」の各章の意味を、AI時代の文脈で読むとどう意味しているのか、子供にも分かるように紹介します。
本日は、学而篇の第3章、「巧言令色」です。
学而篇 第3章
巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すく)なし仁。
(意味)
上っ面で言葉を飾り、愛想笑いで相手に取り入ろうとする人間は、仁が少ない者である。
(説明)
巧言令色(こうげんれいしょく)は、現在では四字熟語になっています。
「口先だけでうまいことを言ったり、うわべだけ愛想よくとりつくろったりすること」という意味です。
色は顔色(表情)を意味し、令は良くするという意味で、愛想の良い表情という意味です。
そうした人間は仁が少ないと述べています。
仁とは、思いやり、愛のことです。
あまり深みのない言葉のようですが、噛めば噛むほど味わいのある言葉です。
言葉をきちんと選び、よい表情でいることそのものは決して悪いことではありません。
相手も気持ちよいですし。
ですが、その態度が「相手への思いやり」から出てきているのか、それとも「自分の評価を高めようとしているのか」で大きく異なります。
表面に出てきている態度・行為が一見同じであっても、その行為の本は何なのか。
もしそれが己のために行なわれているのであれば、その人に本当の思いやりはありません。
そういう人とは付き合わない、とくにビジネスを供にしない、ということを本章では述べています。
論語の学而篇第3章は、
◎言葉や表情が良い印象であっても、その行為の本心が「己の評価」のためであれば、そういう人はパートナーとしてよくない
ということの大切さを伝えている章になります。
AI時代の読み方
この章をAI時代の現代の文脈で考察します。
この先AIが普及すればするほど、現在存在している人間の仕事は減ります。
一方でより重要となるのは、ホスピタリティが求められる仕事です。
例えば、看護師や介護福祉士、高級ホテルの従業員や仲居さん、マッサージ師、セラピストなどが挙げられます。
こうした職業の方は、当然お客さんにとって、気持ちの良い言葉と態度で接します。
ですがその裏には2つのタイプがあります。
●本当に真心からそうした態度が生まれている人間
●職業として、無理に自分を着飾って態度を生んでいる人、つまり巧言令色な人間
つまり仁が実践できてる人と、そうでない人です。
ホスピタリティに関する仕事が重要になればなるほど、仕事の求人倍率や競争は激しくなり、勝ち残れる人は少なくなります。
そこでお客さんから選ばれ続ける人間とは、巧言令色でなく、仁を実践し、真心からきちんとした言葉遣いや表情が生まれる人です。
とはいえ、働くために、勝ち残るために、仁を鍛えるというのは、なんだか変な話であります。
そもそも社会人になってから、思いやりや愛のある人間になるのは、一筋縄ではいきません。
本人が子供のうちから、「思いやりある人間に育って欲しい」と願い、親・保護者・地域・教育者の方々が子育てに携わることが大切だということを本章では孔子は述べています。
まとめ
巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すく)なし仁。
(意味)
上っ面で言葉を飾り、愛想笑いで相手に取り入ろうとする人間は、仁が少ない者である。
論語の学而篇第3章は
◎言葉や表情が良い印象であっても、その行為の本心が「己の評価」のためであれば、そういう人はパートナーとしてよくない
ということの大切さを伝えている章になります。
ホスピタリティが求められる時代だからこそ、根底となる「人間としてのあり方、思いやり」を身につける大切さを忘れないよう伝えてくれます。
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