【図解:3分で解説】「渋沢栄一:論語と算盤」まとめと感想

渋沢栄一の「論語と算盤」の要点を3分で分かるよう図解で紹介します。

「論語と算盤」は幕末から明治・大正・昭和を生き抜いた「渋沢栄一」の著書です。

この本は、多くの経営者や役員の方が「教養本」としてお勧めしている本です。

自分の会社の設立に実は渋沢栄一が関与していて、彼の名前は聞いたことがあるという方も多いかもしれません。

ですが、その著書である「論語と算盤」を読んだことのある人は少ないと思います。

また、読んだ人も、なんか「さらりと読み終わってしまった・・・」
っていう印象を持った人も多いのではないでしょうか。

この本は実は、噛めば噛むほど味わい深い本なのですが、あまり背景が分からないまま読むと、さらりと読み終わってしまいます。

そこで、本記事を読むことで、「論語と算盤」の

①本の内容の大枠を理解することができる

②どんな点に着目しながら読めば良いか分かる

という2つ目的を目指して、本紹介をします。

あなたの読書・学習の支援になれば幸いです。

それでは図解紹介に入ります。

渋沢栄一の「論語と算盤」の内容を一言で表すと

渋沢栄一の「論語と算盤」の内容を一言で表すと、

人間は「論語で人格を磨くこと」 と 「資本主義で利益を追求すること」 の両立が大切です、と説いた渋沢栄一の教育論

です。

渋沢栄一は幕末から明治・大正・昭和までを生き抜いた起業家です。

彼は地元でも有力な農家に生まれ、幼いころから「武士が学ぶ論語をはじめとした人格形成の勉学」と「有力農家として米や蚕などの販売から商業」を学んできました。

その後、明治時代には、起業家として470社以上の会社の設立に関わり、「日本資本主義の父」と呼ばれている凄い人です。

みずほ銀行や東京ガス、東京海上ホールディングス株式会社、帝国ホテル、キリンビールなど、多くの会社の設立に彼が関わっています。

現在の日本企業の大部分は、渋沢栄一によってその土台が作られたと言っても過言ではありません。

渋沢栄一の人生について紹介しだすときりがないので、これくらいで本日は切り上げます。

そんな渋沢栄一は、論語から人格形成を学び、資本主義の利益主義一辺倒にならず、バランスをとることが大切であると、この本で語っています。

ここで「論語」とは、人間性、人格の磨き方、リーダーとしての「あり方」、人との付き合い方を学ぶものだとしています。

そして「算盤」とは、科学技術を学び、会社で仕事をして価値を生み出し、国を豊かにすることだ、としています。

ですが、「論語と算盤」を普通に読むと、「そんなの当たり前じゃん」って思う人が大部分だと思います。

昔の私もそうでした。

ですが、実はこの本にある背景をきちんと理解し、再度読み直すととても学びの深い本です。

その案内を次に紹介します。

渋沢栄一の時代背景

渋沢栄一が幼い頃、幕末の時代は、武士が農家や商家の借金を踏み倒したり、きちんと返せなかったりと、経済が回りきっていない時代でした。

バランスで言うと、「論語100の算盤0」という状態です。

この状態ではいくら人格を磨いてもきちんと経済が回らず、社会が豊かにならないことを、渋沢栄一は学びます。

そして明治維新後、渋沢栄一をはじめ幕末を生き抜いた「論語を学んだ人間」が、さらに西洋の科学技術と資本主義を学び、「論語50の算盤50」というバランスを実現して、明治初期の近代日本の土台を形成します。

ですが明治後期になると、子供の頃に論語を学ばず、西洋の科学技術のみを学び、資本主義のお金儲けばかりを優先する人間が育成されるようになりました。

「論語0の算盤100」の状態です。

そんな状態を憂いて、

「論語による人格形成」と「資本主義の利益追求」のバランスを再度取り直そう

そう語ったのが、大正5年に発行されたこの「論語と算盤」だったのです。

なぜ論語なのか

では、なぜ渋沢栄一は人格形成のベースの本として「論語」を選んだのか?

渋沢は2つの理由を説明しています。

①論語が最も古くからある書物であり、多くのほかの書物であったり格言の大本は論語にあるから

②人の生き方として、現代に適応しても、最も誤りや、誤解の少ない本であるから

と述べています。

論語は「人間がよりよく生きるにはどうしたらよいか」、「より心豊かに生きるにはどうしたらよいか」を教えてくれます。

これら2つの理由に加えて私は、さらに2つの理由も実はあったと考えています。

追加の1つ目は

③論語には神という概念がなく、日本人が受け入れやすい

この時代、内村鑑三や武士道の新渡戸稲造など活躍しているクリスチャンもたくさんいました。ですが、聖書でなく論語を選んだのは、神の存在に対する、天皇制との整合性をとりやすかったからだと思います。

(ちなみに私は、西洋文明の大本は「旧約聖書」と「新約聖書」にあり、東洋文明の大本は「論語」と「ダンマパダ」にあると考えています。)

追加の2番目の理由を説明します。

この論語という本は2500年以上前に書かれた本です。

そんな卑弥呼よりも大昔の本が渋沢栄一の時代を経て、21世紀でもいまだに「教養書」と呼ばれ読まれているには理由があります。

それは論語の中に、

「時代が変わっても変化しない人間と人間社会の本質」

が描かれているからです。

だからどの時代でも論語は教養書として読み続けられてきました。

つまり論語を選んだ4つ目の理由は

④「時代が変わっても変化しない人間の本質」が描かれているから

です。

最後の③と④は私の考えで、渋沢栄一が明言しているわけではありませんが、私は同じ考えを持っていたと思っています。

次に「論語と算盤」の中身から、面白いと感じた箇所をひとつだけ紹介します。

論語と算盤の一部を紹介

P. 193より、

 これに対して、今の教育は知識を身につけることを重視した結果、すでに小学校の時代から多くの学科を学び、さらに中学や大学に進んでますますたくさんの知識を積むようになった。ところが精神を磨くことをなおざりにして、心の学問に力を尽くさないから、精神の面で青年たちに問題が出るようになってしまった。
そもそも現代の青年は、学問を修める目的を間違っている。論語にも・・・(中略)・・・。今の青年たちは、ただ学問のための学問をしている。初めから「これだ」という目的がなく、何となく学問をした結果、実際に社会に出てから、「自分は何のために学問してきたのだろう」というような疑問に襲われる青年が少なくない。

これが大正時代に書かれた文章です。

今読んでも通用します。

この文章を読んで、ひとそれぞれ何か心に思うことがあるのではと思います。

「学問のために学問をしている」の部分は「お受験のために勉強をしている」とも捉えられます。

「何となく学問した結果、実際に社会に出てから、・・・」のあたりは「何となく大学を卒業して、会社に入ってから・・・」とも捉えられます。

この「論語と算盤」という本は読む人によって様々な思いが生まれるのではないでしょうか。

「論語」もそうですし、「論語と算盤」もそうですが、「人間と人間社会の本質的な部分」を描いている本は、先々の時代まで読み続けられる教養本となります。

そして、本質的なものが書かれているからこそ、「読み手の成長度合い」によって、読み取れる内容、感じる感想がどんどん変わっていきます。

私はこのようなたぐいの本を教養本として、おすすめしています。

最後に「論語と算盤」をより深く読み、味わうための読み方を紹介します。

論語と算盤の深い読み方

まずはじめは「論語と算盤」を読んでみてください。

最初は「ふ~ん」くらいの感想で良いです。

「論語と算盤」はいくつかの出版社から発売されていますが、ちくま新書の本がおすすめです。

理由は、最後に渋沢栄一の生涯が簡単に紹介されているからです。

また本文の現代語も読みやすくて、お勧めです。

次に「論語」を読んでください。

といっても論語にも読み方があります。詳細は以下のページを参考にしてください。

(工事中:論語の読み方)

その後、渋沢栄一の伝記作品である、「雄気堂々」を読んで、彼の生涯を追体験してください。

その後、渋沢栄一の

「渋沢栄一「論語」の読み方」

という本と読んでください。

この本は、論語の言葉を引き合いに出しながら、西郷はこうだったとか、大隈重信はこうだった、自分はこのように気をつけているといった説明があり、渋沢栄一が論語を実際にどう生き方に応用していたのかが分かります。

また、渋沢栄一が実際に論語の言葉を幕末・明治の有名人に当てはめて説明しており、幕末好きにはたまらないくらい楽しいです。

以上のルートを読み終わってから、再度「論語と算盤」を読むと、また違った深みが感じられます。

以上、「論語と算盤」の要約・図解でした。

いかがでしたか。

これで、「論語と算盤」をこれから読むときの理解度が上がると思います。

またより深く本書の内容を味わえるようになると思います。

以上、ご一読いただきありがとうございました。

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