【図解:3分で解説】「サピエンス全史」のまとめと感想

「サピエンス全史」上下巻の内容を3分で分かるように、図解を用いて、紹介します。

サピエンス全史は、2017年のビジネス書大賞を受賞した作品です。

興味を持っている方も多いとは思いますが、上下巻合わせて約600ページの大作なのでなかなか読みたくても手が出ない人が多いと思います。

そこで本記事では、サピエンス全史の内容を要約まとめし、その内容を読んだ気になれるようにお伝えします。

内容のネタバレとなるので、一切中身を知りたくないという人は本記事を見ないようにしてください。

【図解:3分で解説】シリーズでは、有名ビジネス書や新刊本、新技術の要点を図解で簡単に説明します。

本記事を読むことでサピエンス全史の

①本の内容の大枠を理解することができる

②どんな点に着目しながら読めば良いか分かる

という2つの利点があります。

あなたの読書・学習の支援になれば幸いです。

それでは図解紹介に入ります。

サピエンス全史の概要

サピエンス全史は私たち人間(ホモ・サピエンス)が地球上に現れてから、今日の人口70億人となり、現代社会を築き上げた要因を分析して解説する作品です。

その内容を一言で表すと、

「人類(ホモ・サピエンス)は空想的虚構をベースとした3つの革命(認知革命、農業革命、科学革命)により、現在の発展へと至りました」

と紹介しています。

内容は3つのパートからなります。

1つ目のパートでは、約10万年前はホモ・サピエンス以外にも、ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)など、複数種類の原人(人種)がいたなかで、なぜホモ・サピエンスだけが生き残ったのかを説明しています。

そして、その答えを「認知革命」と呼んでいます。

認知革命の詳細は記事後半で説明します。

2つ目のパートでは、数百人程度の集団を構成して生活していたホモ・サピエンスが、約1万年前からなぜ数千人規模の都市や国家を生み出せるようになったのかを説明しています。

その答えを「農業革命」と呼んでいます。

最後に3つ目のパートでは、西暦1500年ごろには世界人口が5億人程度であったサピエンスが、500年後の2000年代に70億人にも増加し、現代の国家、資本主義、民主主義的な体制がどのようにして生まれたのかについて説明しています。

その答えを「科学革命」と呼んでいます。

またこれら3つの革命が起こせた理由として、「空想的虚構」を挙げています。

空想的虚構とは、「実際には存在しないが広く信じられる空想、想像上の産物」のことです。

空想的虚構によって、サピエンスは大集団を形成・維持し、発展していくことができました。

「空想的虚構で集団が維持できる」とは分かりにくいと思いますので、例を挙げて説明します。

私たちは知らない人と出会って会話をしていると、心理的に距離があります。

ですが、あるときお互いに同じ市の出身であったと分かると、突然距離が縮まって、仲良くなり親近感がわきます。

これは別に目の前に現金や食物という実物が現れて、それで協力しようとしたわけではありません。

目の前の現実は一切変わらないのに、出身地という概念(一種の空想的虚構)を介して、心理的距離が縮まっています。

※出身地は現実にある場所なので虚構ではありませんが・・・

このように実際には存在しないもの(空想的虚構)を介して、サピエンスは1対1では心の距離を縮めることができ、集団レベルでは、より大きな集団を形成することができます。

空想的虚構は3つの革命それぞれに対して、

認知革命:言語体系、原始信仰(アニミズム=自然崇拝)

農業革命:民族神話→宗教、古代法律と文字(書記体系)

科学革命:資本主義経済、民主主義政治

が対応します。

以上がサピエンス全史の概要となります。

それでは、各革命の詳細について説明します。

認知革命

約10万年前、地球上には、アウストラロピテクスを先祖にもつ、少なくても6種類のホモ属の人種が存在しました。

私たちホモ・サピエンスのほかに、ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)などです。

誤解している方もいますが、サピエンスはネアンデルタール人から進化したのではなく、異なる種です。

ライオンとトラや、馬とロバのような関係です。

これら6種類の人種は、火を扱うことを覚え、他の生物よりも強い力を手に入れ、ひ弱な身体能力にもかかわらず、アフリカ大陸から地球上に進出していきました。

ですが、なぜその6種類のなかで、なぜホモ・サピエンスのみが生き残ったでしょうか?

別の言い方をすると、なぜホモ・サピエンスは他の5種類の人種を滅ぼせたのでしょうか?

「サピエンス全史」ではその理由を「認知革命」としています。

ホモ・サピエンスは他の5種に比べて身体能力が低く、なかなかアフリカ大陸から進出できませんでした。

しかし、いまから約3万年前に、複雑な言語と空想的思考(原始的信仰)を可能にする脳を手に入れました。

なぜ突然そのような能力がそなわったのかは不明です。

ですが、ドイツのシュターデル洞窟で発見されたサピエンスによって作られたライオン人間像(頭がライオンで身体が人)は、このような空想的な思考をホモ・サピエンスが可能にしていたことを示しています。

[画像引用:wikipediaライオンマン]

複雑な言語を持たないネアンデルタール人はせいぜい50人程度の集団で行動していました。

これ以上になると、集団をうまく維持できないのです。

一方でサピエンスは、複雑な言語と空想的思考(原始的信仰)により、社会集団の共通の要素を生み出すことに成功しました。

そしてこの共通要素のおかげで500人以上の秩序ある集団を構成することができました。

その結果、ホモ・サピエンスはネアンデルタール人たちに対して、数の多さを生かした集団的戦略で打ち勝ち、滅ぼしたのだと想像されます。

これまで生物はDNAによる突然変異と自然淘汰によって環境に適用し、より強い存在へと進化してきました。

一方でホモ・サピエンスは複雑な言語と空想的思考によって、大きな社会集団を形成し、集団の知恵によって、協力・共創することで環境に適用し、他の種よりも強くなって、他の人種や動物を滅ぼしながら、世界中へと広がりました。

このようなDNAの進化ではなく、複雑な言語と原始的信仰という空想的虚構によって、サピエンスが大きな力を手に入れたプロセスを「認知革命」と呼びます。

農業革命

次に解決する問いは「数百人レベルの集団から、どのようにして数千人レベルの都市や国家を形成できるようになったのか?」です。

その根本的理由を、農業・畜産業の発達による「農業革命」であるとしています。

今から約1万年前、人類は農業により特定の植物を育てて収穫するという行為を覚えました

これはある日突然できるようになったのではなく、数世代にわたって徐々に浸透しました。

農業を行うには、次の2つの要素が重要です。

①ひとつの場所に定住すること

②暦と未来を予測し、農業を管理するマネジャーを置くこと

それまでの狩猟生活ではたくさん移動するので、年子で生まれたりすると、赤子の面倒をみきれませんでした。

しかしひとつの場所に定住することによって、女性は毎年赤ちゃんを産むことが可能になりました。

その結果、人口は爆発的に増加しました。

これが、数千人レベルの集団を形成する大本となります。

さらに、農業では来年の種となる分を収穫量から保管したり、飢饉にそなえて、備蓄する必要があります。

また暦から種まきの時期をそろえたりする必要もあります。

こうした管理業務を行う人間は、作業する人間とは異なる支配階級の人間となりました。

ですが、その結果2つの問題が生まれます。

それは

・人口爆発した数千人レベルの集団をどう維持するのか?

・なぜ支配階級の人間が許されるのか?

そこで生まれたのが、①民族の神話と②文字(書記体系)です。

原始宗教からより発達した民族神話は、人間の間に支配階級と労働階級があることを理由付ける役割がありました。

また、同じ民族神話を共有することで、数千人単位の集団を維持することが可能となりました。

さらに、数千人単位の集団では、物々交換ややり取りが非常に複雑になり、それをきちんと記録に残す必要とルール(法律)を整備する必要がありました。

その必要性から文字(書記体系)と原始的法律(ハムラビ法典など)が生まれ、より強固に集団を維持することを可能としました。

農業革命を契機に民族神話、宗教と文字、原始的法律という空想的虚構を構築することによって、サピエンスはより大人数の集団を維持することを可能にし、古代エジプト文明から中世の国家までの社会を生み出すことに成功しました。

科学革命

次に解決する問いは、なぜ1500年ごろには世界人口が5億人程度であったサピエンスが、500年後の2000年代に70億人まで増えて繁栄できているのかです。

その答えは、近代科学のはじまりと、資本主義のはじまりです。

ルネサンスを契機にヨーロッパ諸国では近代科学が発展するとともに、地球が平らでなく球体で、想像以上に広いことが明らかになりました。

そしてそれを契機に大航海時代が始まりました。

近代科学の発展と大航海時代の始まりは、人々の生活レベルの向上へとつながり、成長時代に突入します。

成長時代に突入すると、将来は今より豊かになるとみんなが信じて投資活動が盛んになります。

そのような投資活動を可能にするために、銀行システム、とくに「貨幣の信用創造」が機能し始めました。

銀行の「貨幣の信用創造」は、AさんとBさんから100万円ずつ預かったときに、ふたりが突然200万円を引き出すことはないだろうとして、航海家のCさんに500万円を貸し出すシステムです。

手元には200万円しかないのですが、Cさんが航海でたくさんの砂糖や資源を手に入れて帰ってくれば、500万円以上を返してもらい、銀行はAさん、Bさんが合計200万年を引き出しても銀行には300万円以上のお金が残ります。

これが貨幣の信用創造をベースとした投資システム、資本主義です。

(※本当は貸し出したお金の一部もまた預かるので循環してもっと増えます)

ですが、Cさんひとりにお金を預け、ひとつの航海に賭けてしまうと、失敗したときに大変な損害をこうむります。

そこで、Cさんはたくさんの人から少しずつ投資してもらうように、航海を株式会社化しました。

そうすることで銀行は、リスクを分散することが可能になりました。

また、株式市場ができることで、銀行以外の人々も投資ができるようになりました。

その結果、イギリスの東インド会社のように、大きな株式会社が生まれるようになりました。

以上の流れにより、ヨーロッパが世界中がつながり、砂糖や胡椒などさまざまな資源が使えるようになり、科学の発展とあいまって、生活が豊かになり、より多くの人口を抱えることが可能になりました。

ただし、この成長はアフリカや南北アメリカ、インドなどの搾取された側の犠牲のもとに成り立ったことも忘れてはいけません。

科学革命を契機に、資本主義経済や民主主義政治の種が芽生え、それが成長して現在の世界へとつながっています。

まとめると以下の図のようになります。

そしてこれからの時代へ

21世紀に入り、人間は生物の遺伝子を直接扱えるようになりました。

デザイナーズベイビーを原理上生み出すことができます。

また脳や身体と外部機器をつなぎサイボーグ化も進んでいます。

あたかも旧約聖書で神が生物をつくりあげたかのように、自然界には存在しなった遺伝子改変の農作物をはじめ、人間が生物を創り上げることが可能になりました。

神の領域へと踏み込んだ人間の進化は、この先、いったいどこに行くのか?

本当に幸せとは何かについて、サピエンス全史の最後の章では考察しています。

以上、サピエンス全史の図解まとめでした。

簡単にまとめてしまいましたが、実際に本を読むと一文一文が丁寧で、エキサイティングです。

翻訳もとても丁寧です。

興味を持った方は、ぜひ本を読んでみて下さい。

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